爺婆とオレ
新潟の田舎に帰った。
オレの生まれ故郷だ。新潟の夏は5年ぶりだ。いつも冬だった。田んぼには稲穂が生り始め、緑の多い景色とせみの声、じとじと暑っい新潟の夏がやたら懐かしく感じた。
今回は、できるだけ爺ちゃん、婆ちゃんと一緒にいようと決めていた。限られた時間で今がそのチャンスだから、そんでいろんな話を聞こう。

聞きました!
 戦争は絶対にしてはいけない!! 
ばぁちゃんは、「昔に比べると今は夢のような世の中だ!」と言う。
22,23歳で結婚した祖父母達、今のオレの同じ年になる。そして彼らは80歳。オレは80歳になったときに自分がどんなことを考えているか創造もつかない。
そこで聞いてみた。
何を考えて、庭の手入れに、犬の散歩をしているのか?と
そしたら、じいちゃんは、こう答えた。
「昔のことをよく思い出すなぁ」

しばらくして、オレはさらに聞く。
いい思い出とつらい思い出、どっちをよく思い出すん?
「いい思い出らかなぁ・・・そりゃ辛い思いでもあるけど」

オレは今のじいちゃんが幸せだからいい思い出を多く思い出すのかなぁなんて勝手に納得してみた。
いろいろ話をしているものの、何かと戦争時代の話を多くしてくれた。今、オレに伝えたいこと、じいちゃんの人生を振り返り、強い想いはやはり戦争ってものに対してなんだろう。今まではそんなに語りたがらなかった話のような気がする。
それはきっとじいちゃんにはじいちゃんにしか解らないと思っているせいもあっただろう。それは今も変わらない。そして辛い過去なのは間違いない。
いっぱい想像膨らませてみた。が知る由もない。
やはりオレは話を聞いて想像を膨らませることだけしかできない。

だがオレは確実に大切なものを受け取った。
ソファーに座り、目を閉じていた爺ちゃんが、声を大にして、繰り返し言っていたのが忘れられない。

戦争は絶対にしてはなんねぇ!! 

今年、2005年8月15日
戦後60年が経った。
オレのじいちゃんばぁちゃんは、戦争体験者、最後の世代。
その話を聞ける自分は、体験談を直接に聞くことのできる最後の世代ってことになるんだろうか?
オレはその意志を継ぐ。

戦争はさせない。

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