オレのパンツ

2005年6月16日 友達
今日は、テスト二日目。
できは・・・
一夜漬けなんてこんなもんですよね・・・

なんだか、テンション高い今日のオレ。寝不足のせいか?
いや、違う。自分の道が見え始め、帰国を決め、すでに3年間のオーストラリア生活に満足しつつ、最後の仕上げに入っているからだろう。それも一見無意味にすら思われるテスト勉強。正直、楽しくはない。でも、これが仕上げの一部だ。悪くない。

そんで夕寝。飯。YAMADAとチャット。
どうして、こいつと話すと馬鹿みたいにボケの連続なんだろう?二人だけなのにだよ?とにかく、ボケネタを考えるために頭がフル回転。
車の免許を取ったらしい。これで行動範囲も広がるかと思いきや、マニュアルは乗れない。家の車は、マニュアル・・・

オレの帰国後、どこへ一緒に行くかの相談。
「5年ぶりの日本の夏を満喫したい!」
この事実は、自分でも驚きだ。毎年日本には帰るものの、日本の夏を過ごしていない・・・
温泉。水族館。海。島。大仏。とまぁ、時間はいくら会っても足りない。毎度のことだ。
そして、こいつの育った街をオレはまだ知らない。
「こいつんところへ行かなくちゃ!」そんな思いだ。

って話を終えようとしたとき、こいつは、やっと切り出した!オレの一番気になってるところの話を。
就職だ。
半ば、うやむやな形で音楽系の学校を辞め、日本に帰ったあいつは、自分が腐っていると嘆く。オレには、なぜか心配と同時に安堵すら感じた。
「ああ、こいつでもそんな時期があるんだ。」って。
だって、こいつは、いっつも走り続けてるような奴なんだもん。なにかと忙しくしてる。忙しくないとダメになる奴。それ、オレだ。
本人は、真剣に腐ってる自分に凹むんだろうけど、
「お前もそれを味わえ!」って思ったさ。ってか、そう言った。
腐ったことがある人にしか腐る辛さは解らない。
オレはそう思う。
まぁ、こいつがそのうち立ち直るだろうことを見通しての安堵なのは、言うまでもない。

そそ、話を戻すとどうやら、いくつか会社を受けてるらしい。これもかすった程度しかオレは知らない。
結果、英会話学校の教師が決まっているらしい。
 ふむ。
それともうひとつ、最終面接にこじつけたのが本命と言う。
 ほうほう。「で何の会社なんだい?」
郵船クルーズ。
 聞いたことがない。どうやらHospitality サービス業らしい。「(おお、やっぱりかぁ。こいつらしい。)」こいつほど、サービス業が合ってると思う奴はいないかもしれない。そして、田舎娘なのに国際派なんだ。こいつほど話せる奴もいない。そこでオレは、いつしかオレのパンツのような存在と言った。(良く解らないけど、心置きなく、心地いいのを穿きたい。素のままのオレを覆ってくれる大切な存在ってニュアンスでしょう!おそらく・・・)こいつといると素のままのオレでいれる気がしてた。志もある。裏表がない。人の気持ちもくめる。人が好きなんだ。一緒に泣いて笑える奴。人間らしい奴だ。

世界を旅するクルーズのウエイトレス。
 想像がつく。こいつが船の上で客をもてなし、エンターテイメントとかにも参加しつつ、自分も客と一緒に楽しんじゃってる。離れたかもしれない音楽の世界はやっぱり離さない。きっと、どこに海にいても暇があれば、サックスでも吹いてるんだろう。そして、誰よりも感受性のアンテナビンビンに立てて、あれこれに感動していくんだろう。その会社の社長は、求めている人材の要素を語り、「夕日を見て美しいと思えなくなったら、もうこの船には乗れない。」と言う。こいつには、どれもこれも当てはまってしまう。とにかく、採用は、かなり狭き門だ。本人は、とにかく、不安な思いを言葉にする。けど、オレには不思議と「まぁ、大丈夫だろう」って思えてしまう。オレの厳選に厳選を重ねて、選び抜いた、つまり、めっけもん、それがこいつだからだ。オレは、常に人を見極める目を養ってきたつもりだ。
こいつは、オレの自慢だ
「こいつがダメならどんなんがいいんだ?」

オレが聞いたのは、一つだけ。
「お前は、最終面接でその社長さんにそこで一緒に働きたいって言ったんだろ?」
「うん。」
 だったら大丈夫だ!!本当にそう思った。

色々、あいつなりにやっちゃった思いがあるらしい。でも、オレにしてみれば、どれもこれもそこにそれだけ熱い想いがあるから、少しだけ、てんぱっちゃったんだろ?くらいなもんだ。

正直、少し悔しくなった。
そうやって自分の道を見つけ、熱くなってるこいつの話を聞いて、まだオレは、こいつの一歩後ろを歩いているんだって思った。こいつと出逢ったその日からオレはいつも一歩出遅れてる。クラスは、オレの一つ上。オレは、途中で進級してそいつのクラスに入る。テストを受けてもそいつより一段階下。あいつはオレよりも先に旅出ち、それを追いかけるようにオーストラリア、メルボルン着く。語学学校に通うオレ。そのとき、あいつは、現地の学校に入り、Hospitalityを学ぶ。早速、シェアメイトも見つけ、一軒家に住む。オレは、そのあと、ホームステイから抜け、シェア暮らしを始める。そして、オレも自分なりに考えて、ゴールドコーストへ移り、Hospitality, Tourism and Dive Resort managementを始める。オレがそのコースやってるのを横目に、あいつは、そのサービス業のコースを終え、音楽への道へ戻り、サックスを吹きながら、自分の居場所を作っている。そして、帰国だ。その頃、やっとTAFEのコースを終了し、大学へ入る。そして今、あいつは、自分の道を見据え、働く場を見つけた。それは、オレが今一番楽しみにしていること。オレがこれからやろうとしてること。しかし、オレは、この一歩出遅れているような歩みが嫌いじゃない。あいつが速く走れば、オレも速く走れる。無理に追い越す気は、さらさらない。先はまだ長い。そして、走りながらもあいつは、オレを必要としているはずだ。斜め後ろを振り返り、オレに不安や喜びを訴える。オレは、斜め後ろから同じように不安や喜びを訴える。最高にいい関係なんだ。つまずいた時は、励まし合う。辛いときは一緒に茶でも飲んで、また走り出す。嬉しいときは喜び合って、勢いに乗って走る。
いつか、あいつを追い抜いて、オレが前から引っ張ってやる!
そうして、そんな関係が続いていけたらいいなぁ。
そして、オレの夢は、また一つ増えた。
こいつの働くクルーズで世界一周をすること。
オレのパンツとだ。 

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